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大学について

体験談

国際機関で人間の安全保障に携わるために!サセックス大学で開発学を学ぶ  第3回 学業編

安達 茉莉子さん

安達 茉莉子さん
留学分類:大学院留学
専攻名: 開発学 MA in Development Studies
留学期間:2012年10月〜2013年9月
beoの留学サポート利用して、現在留学中

世界屈指の開発学研究機関として国際的に高い評価を得ているサセックス大学 University of Sussex。卒業生は国際機関やNGOなどで活躍しています。将来は国際機関で「人間の安全保障」に携わりたい、と防衛省を退職されてサセックス大学 MA in Development Studies に留学される安達さんからの現地レポートです。

第2回目ではIDS (Institute of Development Studies) とはどんなところかを中心に書きましたが、今回は実際の学びがどのようなものであるか書きたいと思います。

学業編:「Relevance of Development? 'We're all appropriately confused'」です。

1.MAコース全体
2.授業について
3.1st termで受講した授業
4.勉強する環境
5.苦悩と楽しみ


1. MAコース全体

今年開講されている科目は以下のとおりです。
  • MA Development Studies 開発学
  • MA Governance & Development ガバナンス&開発
  • MA Poverty & Development 貧困&開発
  • MA Gender & Development ジェンダー&開発
  • MA Globalisation & Development グローバリゼーション&開発
  • MA Participation, Power and Social Change 参加、パワー、社会変革
  • MA Climate Change &Development 気候変動&開発
     (サセックス大学と共同開講:IDS外での授業が中心)
私は「MA Development Studies」というジェネラリスト(generalist )養成のためのコースに所属しています。
Development Studiesから最初に転籍する人も結構います(要相談&交渉)。

私も一時期、「General過ぎて何にも専門性身に付かないのでは?」と不安になりましたが、結果的には個人的には一番フィットしたコースだったと思います。
何でも選択できるし自分を縛る必要がないという点で満足しています。

人によっては例えば「ジェンダーコースにしたはいいがちょっとジェンダーすぎる(選択科目の余地が少ない)」というような声も聞きますので。
私の場合はDevelopment Studiesの柔軟性があっていたと思います。

2. 授業について

基本的に3学期制です。

* 1st term: conceptual & theoretical background コンセプト、理論的な枠組みを学ぶ

ということで、概念・理論が中心です。
どのコースも批判的にdevelopmentを振り返り、自分の立ち位置を問い直すような期間なので、混乱に混乱を重ねて答えを模索する、みたいな授業が多いですね。
大陸哲学に基づく批判・分析も多いので、自分の認識そのものが揺さぶられるようなヘビーな授業が多いです。
ある授業の講師が

"It seems you are all appropriately confused now"
皆『適切』に混乱してしまっているようだね」
(※皆すっかり混乱しているけど、それで当然というニュアンスです)

と授業の終わりに笑いながら言っていましたが、本当にこの一言に尽きるなと思います。

「どうやってそれをやるのか?」で始めるのではなく、'Development' の 'Relevance(意義)' を批判的に分析するところから始まるのが印象的でした。
「なぜそれをする必要があるのか/誰がどのような影響を被るのか/どのような権力関係(power relations)が生じているのかetc」 などの根本的な部分から問い直すのはどのコースも共通のようです。

個人的には社会の中で個人として生きて行く上で、生き方の根幹に関わるような思考を行うことができて、とても有難い部分です。
全く予想していなかったですが、将来的にPhDに進みたいと考えるようにもなりました。

* 2nd term: specific & practical 具体的、実践的に

ということでより特化・実務的な授業が中心です。
12週間のcore module(必須科目)がひとつ、6週間のoptional module(選択科目)を2つ履修します。
リサーチ・メソッド(Research method)の授業はこのtermで履修可能です。
2nd termについてはまた来年書いて行きたいと思います。

* 3rd term: 修論執筆onlyで、field researchを行う人はこの間いなくなるそうです。

3. 1st termで受講した授業

授業は3つ履修で、
  • Ideas in Development 開発学の考え方(IDS全員必修)
  • Sociology, Anthropology & Development Conundrum 社会学、人類学と開発学の難題
  • Introduction to Development Economics 開発経済学入門
  • Empowering Society 社会のエンパワメント
という4つのmodule(科目)の選択肢の中から、上から3つを受講しています。

無謀な事にもうひとつ別moduleを聴講しました。(IDS外のコースも交渉により聴講可能です)
MA Governance& Development という別コースの授業で、「Governance, Politics & Development」という科目です。

Readingをやっていくことが聴講の条件なので、結構というかかなり時間も食うし体力も投入するので疲れるのですが、色々考えてこの学期はちょっと無理してでも多くを望もうと決めたのです。
結果としてreadingなど毎回できたかというと、どうしても課題や他の授業のreadingなど優先順位の高いもので精一杯で、満足な準備はできませんでしたが、他コースの人達の議論のあり方を学ぶ事ができたのは大きい収穫でした。
他コースの人達、教授と仲良くなれたのはもちろん言うまでもありません。

メインの授業については「Sociology, Anthropology & Development Conundrum」のmoduleが一番mind-blowing(衝撃的)かつ自分自身が本当に何に興味があるか、どのような視点に共感を感じるかといった点でドンピシャだったと思います。
色々な意味で見方を変えさせてくれる授業でした。

※beo 注: イギリスの大学院は、各コースにモジュール(module)という科目・授業があり、必須・選択モジュールに分かれています。学生はそこから授業を履修します。

4. 勉強する環境

IDSには図書館が併設されていますが、ヨーロッパ最大の開発学系図書館という謳い文句の(世界最大はどこなのかとも思いますが)図書館は、基本「Buzzy space(おしゃべりスペース)」としておしゃべりが許可されています(1階のみ)。

静かに勉強したい人には階下にquiet study areaというのもありますが、基本的にIDS全体のノリが「オープン」で「ソーシャライズ」を是とする感じです。

なので、図書館にこもりきりでも決して人との関わりを失う事にはならないし、どのみちみんな図書館にいるので、勉強したいけど人と関わる時間を失うのでは・・・という謎の心配は杞憂に終わりました。

週末は大体吸い込まれるように皆でBar&Pubに飲みにいったりパーティーもちゃんと発生しているので、孤独に陥るリスクは低いと思います。
二日酔いで脳が働かないというリスクはままありますが・・・


IDSの図書館:話しながら勉強。
大体ここにくれば人に会える、交流の場となっています。

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IDSの図書館(その2):online journalなども充実しているので、文献探しのストレスは比較的ありません。なんならSussexの図書館も使えるので...

5. 苦悩と楽しみ 〜授業への貢献に必要なこと〜

驚いた事に、授業での発言などはオフィシャルな評価の対象になりません。
評価はすべて課題ベースです。

なので授業で頑なに沈黙を保っても紙の上での成績に影響はないのですが、やっぱり授業で満足のいく貢献ができないと、本当に本当に悔しい気持ちで教室を後にします。

貢献のためには、個人的には議論力(対話力)×分析力(発言力)×経験(オリジナリティ、思想)という要素があると感じます。

対話力は人の意見を受け止めてそれをより良くするために打ち返す能力、
発言力はReadingなどから必要十分に情報を吸い出し、それを人に紹介する意図も含めて発言する事、
経験は自分だけがもつオリジナリティとして、ストーリーにすること。
やっぱり見てきた人、そこで働いていた人の発言は大きいですから。

もちろん英語力もとっても大事ですが、あくまでこうした思考力、議論の力と両輪の関係にあると思います。
(beo外ではありますが)受講していたクリティカルシンキングのコースは本当にクリティカルに重要でした。


また、経験についてはこの経験の何がrelevantなのか、人にストーリーとして語れるように整理しておくこともすごく重要です。
それがオリジナリティ・強みにも繋がると思いますので。

大学院で、切磋琢磨の環境の中、ただでさえ英語も満足に出来ない中、無力感・無能感を感じずに自分を出していくためには、自分の中に消えない理想やコアみたいなものを意識的に整理しておくことが必要だと出国前に大学時代の教授にアドバイスをもらいましたが、本当にそのとおりだったなと思う日々です。
 「私にはこれがある」みたいな感じでしょうか。

楽しみは表裏一体で、この自分との闘い(struggle)そのものをずっと待っていたという感じがあります。

また、開発学という複雑な分野について、どのような意味であれ関心は薄れません。
人生の一時期を投入し、毎日毎日図書館にこもる生活ですが、そんな日々が苦痛にならないためにも、大学院選びのマッチングはシビアに行ったほうがいいかもしれません。

逆に言えば、勉強自体が自分のfuel(エネルギー源)になるような幸福なマッチングがあれば、毎日楽しいです。

何かのご参考になれば幸いです。

次回は生活編を書きたいと思います。